COLUMN
コラム歯科医院へ通いたくても通えない人がいます。
高齢者数の増加に伴い、リハビリを有する人や免許を返納してしまった人などが通えなくなっているのです。
そんな人の強い味方となるのが訪問歯科診療です。
そこで今回は訪問歯科診療と報酬について紹介していこうと思います。
訪問歯科診療とは歯科医院へ通えなくなった人の自宅などへいき治療をすることです。
訪問診療では治療の範囲が限られると思う方もいますが、実際は歯科医院とほぼ同じことが行えます。
虫歯の治療や歯周病の治療、抜歯や入れ歯の調整も行えるのです。
近年では、摂食嚥下障害のある患者へ内視鏡を用いた検査やリハビリを行うこともあります。
訪問歯科診療は現在最も需要が伸びているジャンルでもあります。
厚生労働省の資料をみると訪問歯科の患者の多くは高齢者と呼ばれる65歳以上の方です。
中でも75歳以上の人がおよそ8割を占めています。
日本歯科医師会が行った要介護者に対する調査の結果をみると、歯科治療や口腔ケアが必要な高齢者のうち実際に口腔ケアや治療を受けられているのは2.4%程度しかいないというデータがあります。
2.4%という数字の背景には訪問歯科治療が周知されていないことも関係しています。
自宅で歯科治療は受けられないと思っている方がいます。
現在は、歯科用ポータブル機器も進化していてどこへでも運べるようになりました。
全国におよそ6万8000件ある歯科医院のうち、訪問歯科を実施しているのは約1万5000件。
訪問歯科診療を実施している歯科診療所の割合を都道府県別でみると長崎県が高く40.5%、沖縄県が低く13.6%という結果になりました。
訪問歯科診療は外来診療と異なり、保険点数が高い傾向があります。
訪問先の自宅や施設に患者が何人いるかで外来でいう初診や再診料に該当する「訪問診療料」が決まるのです。
この点数は一言でいえば割がいいものです。
しかし、その裏には訪問診療に対して効率の悪さを実感して、あまり訪問したがらない先生が多いといえるのです。
地域の中には高齢者が多い地域もあり、外来診療で患者が来るのを待つだけでなく、訪問して治療する必要も出てきます。
厚生労働省は地域密着型の医療へ転換するよう見解を出しています。
そこで訪問診療に対する報酬を厚く設けているのです。
また、かかりつけ医強化診療所という施設基準を満たすには訪問歯科診療を一定数行っていなければいけません。
訪問診療をしているクリニックへ手厚くするのはこういった配慮からも感じ取れます。
この先数年は高齢化社会の影響を受けるでしょうし、訪問歯科も一つの選択肢に入れて良いのではないでしょうか。